ATP検査の正しい使用法ATP検査の基礎知識1 ATP拭き取り検査(A3法)は、生き物を含む多くの有機物に含まれるATP (アデノシン三リン酸)を検出し、汚れの指標とする検査方法です。 ATPの他にADP(アデノシン二リン酸)とAMP(アデノシン一リン酸)も 含めて検査出来る高感度検査システムを良く使われます。 検出するのは、食品残渣、食中毒菌、ヒスタミン、アレルゲンを検出する 為、ウイルスは含みません。ATP検査では、ウイルスはATPを持たない遺伝 物質(DNAやRNA)がタンパク質の殻に納まっているだけですので、重要 なのは、ATP検査ではウイルスの検出は出来ないという事です。 ウイルスの検出はATP検査では不可能!ATP検査の基礎知識2 目に見えない、または微量の汚れや残留物を検出するように設計されている ATP機器類は、微生物(菌等)や唾液、鼻水、血液等の体液、その他の有機 物質にATPが含まれていますので、日常の「洗浄の評価」に役立つ検査方式 です。 他社の除菌サービスにATP検査を導入して、菌やウイルスが減ったと説明し ているサービスを良く見かけますが、菌やウイルスの減少を証明する方法と して、ATP検査をしているのは、誤った使い方になります。 ATP検査で菌やウイルスの減少は確認不可ウイルスの検出方法1 細菌は自力で増殖出来ますので、スタンプ培地等で菌を採取して数日間培養 する事で、菌の存在について確認する事が出来ます。しかし、ウイルスは自力 で増殖出来ない為、この方法は使えません。 ウイルスを観察するには、電子顕微鏡を使い観察するか、イムノクロマト法や ELISA法等があります。ウイルスタンパク質を抗原として、抗原に特異的に 反応する抗体を利用して検出します。 イムノクロマト法 免疫検査の基礎原理 セルロース膜上を被検体が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を 応用した免疫測定法です。検体中の抗原は検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロ イド等で標識された抗体(標識抗体)と免疫複合体を形成しながらセルロース膜状を移 動し、セルロース膜状上にあらかじめ用意されたキャプチャー抗体上に免疫複合体がト ラップされ程色し、それを目視により判定する方法です。妊娠診断、インフルエンザ等 で応用されているので、ご覧になった事があるかも知れません。 ウイルスの検出方法2 ELISA法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay:イライザ、エライ ザ、あるいはエライサと呼びます)は、試料溶液中に含まれる目的の抗原あ るいは抗体を、特異抗体あるいは抗原で捕捉するとともに、酵素反応を利用 して検出・定量する方法です。 原理 種々の抗原抗体反応の組合せを利用し、最終的には酵素標識し た抗原あるいは抗体を反応系に組込んで、酵素活性を検出しま す。 酵素活性の検出には、反応によって吸光スペクトルが変化する基 質が用いられ、吸光度測定で数値化します。 抗原抗体反応の組合せによって直接法、間接法、サンドイッチ 法、競合法などと呼ばれる方法があります。 ウイルスの検出方法3 遺伝子増幅による検出方法として、RT-PCR法とリアルタイムPCR法があり ます。基本的には同じ方法で、ウイルスの遺伝子を増幅して、増幅した遺伝 子を検出する方法です。 特徴 ・事前に遺伝子配列が判明している事が必要です。 ・遺伝子を増幅する為に、感度は高いです。 ・不活化したウイルスでも遺伝子があれば、検出されます。 ・試験に使用する機器や試薬が効果です。 ・遺伝子を取り扱う為慎重な操作が求められます。ウイルスの検出方法4 ウイルス感染細胞を観察する方法もあります。ウイルスに感染した細胞は、 形が崩れたり、肥大化したり、融合しあったりと形状の変化を引き起こす場 合があります。ただし、形状変化に10日間以上かかるものもあります。ま た、ウイルスによっては、このような変化が出ない場合もあります。 特徴 ・最ボイやウイルスの管理に専用の機器や施設が必要です。 ・細胞の入手が困難だったり、入手が出来ない場合があります。 ・細胞の培養やウイルスの感染の確認に時間を要します。ウイルスの確認方法は難しい このように、ウイルスを実際に見つけて確認をするには、相当難しい検査方 法が必要となりますので、ATP検査をしてウイルスや菌が存在しなくなった という誤った説明をする事業者が多く、弊社ではATP検査の導入でお客様に 対して誤解を与えないようにしております。 仮にATP検査で比較検討する場合は、一度クリアにした場所に半分だけ光触 媒を散布して、もう半分は通常に運用をします。3~7日程してからATP検 査をすると、光触媒の散布した方は「菌が繁殖しません」ので、ATPの数値 は当然低くなる事が御確認頂けます。(ウイルスは検出出来ませんので、あ くまでも菌の存在となります。)菌の確認には、スタンプ培地を利用 菌を見つけるには、スタンプ培地で培養するのが、一番わかりやすい説明の 方法になります。しかしながら、ウイルスは培養出来ませんので、あくまで も菌の存在確認となります。 方法 ・スタンプ培地を菌の存在を試したいところに接触させます。 ・一定の時間一定の温度で培養します。 ・スタンプ培地に菌がいる場合は、コロニーが形成されます。 Next >